液体の水が存在するかもしれない惑星を持つ恒星
 グリーズ 581 (Gliese581)

 ヨーロッパ南天天文台で発見された地球のような惑星がある可能性を秘めた星「グリーズ 581」を美星天文台の101cm望遠鏡で撮影しました。この星は、てんびん座の方向20.5光年の距離にあり、質量は太陽の3分の1しかない表面温度3500度ほどの恒星です。この星を回る3つの惑星のうちの1つが、表面に液体の水が存在する可能性がある「ハビタブル・ゾーン」に存在することが分かりました。

 ところで、美星天文台でこの恒星を観測したところ、ヨーロッパ南天天文台が公開した画像と星の位置が異なることに気がつきました。よく調べてみると、グリーズ581は1年間に1.2秒角も移動する固有運動が大きな恒星でした。恒星は宇宙空間の同じところに留まっているのではなく、時間と共に移動します。グリーズ581のように太陽近傍の星では、しばしば距離が近いために、その位置の変化を数年から数十年で確認することができます。

 グリーズ581は、恒星ではM型矮星に分類され、同じタイプの星は私たちの銀河系にたくさん存在します。そう考えると地球のような水をたたえる惑星が宇宙には数多くあるのかもしれません。宇宙に生命が生存可能な惑星がどの程度存在するのか、研究が進むにつれて次第に明らかになってゆくことでしょう。
シュミットカメラで撮影した写真乾板をデジタル化した星図データベース(The Digitized Sky Survey)から1955年と1991年に撮影されたグリーズ581の画像をダウンロードし、美星天文台の101cm望遠鏡で2007年4月28日撮影した画像と合成しました。黄色い矢印が付いているのがグリーズ581です。半世紀で約1分角の移動が確認できます。

[掲載日:2007.4.30]




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