概要
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超新星 2014J は2014年1月22日(日本時間)にロンドン大学天文台(University of London Observatory)
によっておおぐま座の銀河M82の中に発見されました。美星天文台では発見の報告を受け、
同日に分光観測を行い、この天体がTa型(いちえいがた)超新星であることを明らかにしました。
また、24日の公募観測では津山工業高等専門学校のみなさんが101cm望遠鏡で超新星の撮影に成功しました。
超新星 2014J は比較的近傍のM82に出現したことと、明るいタイプのTa型超新星であることから、
超新星の中では明るいものとして観測されています。
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出現前後の M82
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右の画像は超新星爆発後の1月24日午後11時ごろに撮影されたもので、2本の白線で超新星の位置を示しています。
津山工業高等専門学校の佐々井研究室の佐々井先生とゼミ生の5名によって撮影されました。
左は比較のために並べた超新星爆発前のM82で、撮影者は大沢真也さんです。
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分光観測
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M82に超新星と思われる天体が発見されたという報告を受け、
1月22日午後9時ごろから101cm望遠鏡に取り付けられた分光器でこの天体を分光観測しました。
超新星はスペクトル中に水素が見られるII型と水素が見られないT型に大別できます。
T型の中で、ヘリウムも見られず、ケイ素の特徴的な吸収が見られるものをTa型と呼び、
観測で得られたスペクトルはこれと一致します。このようなことから、
M82に出現した今回の超新星はTa型であることが分かります。
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Ta型超新星は白色矮星が近接連星系を成す場合に、白色矮星の核爆発で生じる天体現象です。
現在Ta型超新星の起源として考えられている大きな説は2つあります。
一つは白色矮星に隣接する恒星からのガスの流入により、白色矮星の内部の密度・温度が上昇し、
炭素の核融合反応が暴走的に進み、星全体が飛び散るものです。
もう一つは白色矮星同士の合体によって爆発を生じるものです。
爆発直後のスペクトル中には炭素が反応して生成された、
カルシウム、ケイ素、硫黄などが吸収線として観測されます。
水素やヘリウムは爆発前に反応してほとんど残らないため、
スペクトルには水素やヘリウムが見られないと考えられています。
スペクトルに見られるナトリウムの吸収線はM82銀河内部の星間吸収によるものです。
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