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光害の測定

美しい星空を守る井原市光害防止条例にそって、美星天文台では、天文台の夜空の明るさを測っています。

1988年(昭和63年)から2012年(平成24年)まで、環境省全国星空継続観察に参加し、双眼鏡を用いた市民参加による星空観察と、スライド撮影(平成24年度夏期はデジカメ撮影)による夜空の明るさの計測を行ってきました。

また、2010年からは、ライトメーターによる夜空の明るさ測定を行っています。さらに、101cm望遠鏡を用いた測定も行いました。


環境省全国星空継続観察による美星の夜空の明るさ

環境省全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)は、環境省が昭和63年度より平成24年度まで全国で実施した市民参加型キャンペーンで、星空を観察することによって大気汚染の状況や夜空の明るさの増大などを実感し、大気環境と人間活動とのかかわりについて、問題意識を深める活動です。天の川の見え方、双眼鏡による星の見え方を一般参加者に記録していただくほか、スライドまたはデジカメで星空を撮影して夜空の明るさを測定します。

美星での、スライド・デジカメ撮影による夜空の明るさは、次のとおりです。明るさの単位は、mag/□" で、これは、写真上で星が存在しない部分の夜空の1秒角四方(1秒角は角度の1度の3600分の1)の範囲内で観測される光の量を、同じ光の量が観測される星の等級(magnitude)で表わしたものです。数値が大きいほど、空が暗いことを表しています。

ただ、測定した夜の天候に左右されますので、一つの年度の夏期(あるいは冬期)の測定値は大きな誤差を持ちうることに注意して下さい。長期的に見て、おおむね、暗い夜空が保たれていると考えられます。

年度 夏期 冬期
1988年度(昭和63年度) 20.8
1989年度(平成元年度) 21.2
1990年度(平成2年度) 20.4 21.9
1991年度(平成3年度) 21.2 21.7
1992年度(平成4年度) 20.9 21.2
1993年度(平成5年度) 20.8 20.5
1994年度(平成6年度) 20.3 21.7
1995年度(平成7年度) 21.0 21.6
1996年度(平成8年度) 21.3 21.8
1997年度(平成9年度) 21.1 21.7
1998年度(平成10年度) 21.2
1999年度(平成11年度) 21.3 21.8
2001年度(平成13年度) 20.8
2004年度(平成16年度) 22.5
2005年度(平成17年度) 21.4
2006年度(平成18年度) 22.9
2007年度(平成19年度) 22.8 20.3
2012年度(平成24年度) 20.6

2000年度、2002〜2003年度、2008〜2011年度は、都合で測定できなかったものです。

下の表は、平成24年度夏期の環境省全国星空継続観察で、写真撮影参加57団体の結果を、都市規模別に整理して平均したもので、環境省の報告書「平成24年度観察の結果概要」の表を転載したものです。

都市規模夏期
観察数平均値(mag/□")
巨大都市(人口100万人以上)217.7
大都市(人口30万人〜100万人)419.0
中都市(人口10万人〜30万人)1520.1
小都市(人口10万人未満)3620.2
全体5720.0

下の表は、上と同じデータを、周囲の土地利用状況別に整理して平均したもので、同じ報告書の表を転載したものです。
都市規模夏期
観察数平均値(mag/□”)
商業地域218.6
工場地帯220.2
住宅地1319.0
農業地域1520.2
森林・山間地2120.7
その他419.7
全体5720.0

平成24年度夏期の美星の夜空の明るさ(20.6 mag/□")は、小都市の平均より暗く、森林・山間地の平均と同程度になっています。



ライトメーターによる2010年6月〜2013年8月の夜空の明るさ
 

美星天文台では東洋大学の越智准教授と協力し、夜空の明るさを継続して測定しています。以下は2010年6月から2013年8月までの午前3時付近の夜空の明るさをグラフにしたものです。

横軸は修正ユリウス日(1858年11月17日午前9時からの経過日数)ですが、グラフの上に、各月の1日の位置を示しています。縦軸は、環境省全国星空継続観察と同じ、1秒角四方の空の等級で、ここではmag/arcsec2と表していますが、mag/□" と同じです。縦軸は下向きに数値が大きくなることにご注意ください。数値が大きいほど夜空が暗いことを示します。

約1か月に1度の割合で夜空が明るく(数値が小さく)なっていますが、これは月の影響によるものです。空が暗い日は 20.6 mag/arcsec2 前後で推移しています。

測定機器はライトメーター(2010年8月に機器を更新)で、美星天文台屋上に設置しています。

なお、2013年9月以降の夜空の明るさについては、公開準備中です。


img01
101cm望遠鏡による夜空の明るさの測定

美星天文台では、101cm望遠鏡を用いた夜空の明るさの測定を、1999年〜2000年のうちの、月明かりが無く、晴れた夜に行いました。明るさ10等級という肉眼では見えない程度の暗い星でありながら明るさが正確に知られている星を、101cm望遠鏡とVフィルター(天文観測でよく使われる緑色のフィルター)を使って様々な地平線からの高度で撮影し、星の光が大気によって吸収されて星が暗く見える影響も考慮して、星の周りの夜空の明るさを推定しました。

下の図は、2000年4月28日の測定結果で、横軸は地平線からの高度(度)、縦軸は空の明るさ(mag/□")です。左端が頭の真上(90度)にあたります。◆印は、星の画像1枚ごとに、星の地平線からの高度と、星の周りの空の明るさについて、グラフ上に点を打ったものです。右のほうの低い空ほど、倉敷市・福山市の街明かりなどの影響で明るくなっています。この図より、この夜の真上近くの空の明るさは20.5等級くらいと推定されます。1999年11月3日、2000年5月29日、2000年8月4日も、20.4等級〜20.5等級でした。

なお、最近も101cm望遠鏡で測定しており、ただいま公開準備中です。


101cmによる空の明るさ


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