この望遠鏡は首都コロンボ郊外のアーサー・クラーク現代技術研究所に新築された 本館屋上に設置されました。 この研究所は『2001年宇宙の旅』などの作品で有名なSF作家で 40年もコロンボに在住しているアーサー・クラークを記念して設立されたもので スリランカにおけるハイテク技術のセンターになっています。 贈呈式にはクラーク氏も出席し、ユーモアを交えながら スリランカでは初めての本格的な望遠鏡に期待するあいさつをしました。 ここの副所長のパドマシリ・ド・アルビスさんは昨年、 美星天文台で開かれたミニ交流会にも来られています。 望遠鏡計画を中心になって推進されたかたで、 この人の努力が実を結んだといってもよいでしょう。
自宅にくつろぐアーサー・クラーク氏
ところで望遠鏡の設置は建物の建設が遅れたため、 五藤光学から派遣されていた2人の技術者の懸命の努力によって、 ようやく贈呈式の2日前にいちおうのセッティングが終わったところでした。 当日の晩はさいわい、雲のきれ間から土星やオリオンの星ぼしが姿を見せ、 参加者を喜ばせました。技術者のかたもほっとしておられましたが、 望遠鏡や観測装置の調整など問題はこれからですよと私に本音をうちあけてくれました。 この望遠鏡は光電測光装置と小型分光器が付属しており、 太陽系天体や変光星の観測で将来は国際的観測ネットワークにも 参加したいという研究所の方針です。 また、コロンボ周辺の大学の天文教育やアマチュアの観測にもオープンされます。
五藤光学45cm望遠鏡
そのため、研究所は望遠鏡の管理と観測に専念する若い男女の2人を採用し、 観測、教育、普及の広い活動を支えることになっています。 30人の応募者から選ばれたという2人はまだ天文のプロではありませんが、 本格的なプロとして働くため、 日本での本格的なトレーニングを受けたいと希望しています。 2人の夢が実現するといいですね。