輝線星雲の詳細(発光原理)

写真に撮影すると赤く輝く美しい星雲で,オリオン座大星雲(M42)や,いっかくじゅう座のバラ星雲,いて座の干潟星雲(M8)などがよく知らせている.これらの星雲には,必ず2万K以上の高温の若い星が付随しており,星雲はその星からのエネルギーで発光している.

発光機構

星雲に付随する高温の星は,多量の紫外線を放射している.星雲内の水素原子がその紫外線の高いエネルギーを受けると,電子が原子から飛び出して自由電子となり,激しく動き回るようになる(この現象を電離またはイオン化という).この自由電子は,原子核と衝突・接近して再び原子核と結合し,その際に可視光線を放射する.これが,星雲の発光機構である.その際に,水素バルマー系列の6563Å(オングストローム)の光(赤色の波長にあたる)を最もよく放射する.そのために,HII領域とも呼ばれる.

参考文献

奥村幸子,黒田武彦,高原まり子,森本雅樹 著 地学団体研究会編 「新版地学教育講座13 宇宙・銀河・星」 東海大学出版会