光度距離

距離lの位置にある絶対光度Lの天体からくる光(放射)の強さは,Lをlの2乗で割ったものに比例する.絶対光度Lがわかっている場合には,地球上での放射の強さの観測値を用いて,その天体までの距離を決めることができる.天体固有の光度は別の情報から精度よく決められることが多い.

(1)星の場合
主系列星に対しては,星のスペクトル型や色と絶対光度の間にはある関係が成り立つので,星の色を観測することによって絶対光度を決定し,これを見かけの光度と比べることにより,光度距離を決定できる.この方法は,我々の銀河内の明るい星までの距離をかなり正確に決定する.

(2)セファイド法
ケフェウス座δ型変光星では,変光周期と絶対光度(および色)の間に規則的な関係が成り立つ.そこで,変光星を見つけてその周期と見かけの明るさを観測すれば,変光星までの距離が決まる.この方法は,我々の銀河の周囲にある球状星団までの距離や,近くの銀河までの距離を決める際に用いられる.ただし,あまりに遠方では,銀河の中の個々の星を識別できなくなるので,この方法が使えなくなる.

(3)タリー・フィッシャー法
渦巻き銀河の絶対光度と,水素ガスが出す21cmの電波の輝線を用いて決められた銀河内のガスの回転速度との間にある関係が成立している(経験則だが)ことを用いて,絶対光度を推定する方法である.数十Mpcくらいまでの距離をかなり正確に測ることができる. 

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参考文献

小玉英雄,1991,相対論的宇宙論,p41-43