最初の月食記録

日本書紀に「皇極天皇二年五月十六日,月蝕えたり」(643年6月8日)の記録が月食の最古の記録である.しかし,この月食は月が沈んでから起こる月食なので,暦算のものを記録として残したらしい.本当の月食の記録は日本書紀に「天武天皇九年十一月十六日,月蝕えたり」(680年12月12日)の記録で,この時は食分が0.85の部分食であった.なお,これ以降1600年までの973年間に568個の月食の記録があるが,実際に月食があったのは411個である.これは実際の観測記録ではなく,暦の予報として記載されているものも記録されているためである.

mw.gif

参考文献

斉藤国治「飛鳥時代の天文学」1982,p13-103,河出書房新社
佐藤政次「暦学史大全」1968,p.70-73,135-138,189-200,駿河台出版社
日本学士院編,1979「明治前日本天文学史」p.423-482,臨川書店