最初の新星・超新星記録

1006年に日本では3月から7−8月ころまでおおかみ座に見えた超新星が日本最初の超新星の記録である.種々の文献があるが,3月28日に天文博士安倍吉昌が奏上している.藤原定家著の明月記に以下の文章がある.「寛弘三年四月二日(1006.6.1)葵酉夜以降,騎官中有大客星 如螢惑,光明動耀,連夜正見南方,」これは定家自身が見た記録ではない.

1054年におうし座に見えた超新星は,現在のかに星雲である.これも明月記に以下の文章がある.「天喜二年(1054)四月中旬以降,丑時客星出 参度,見東方,はい天関星,大如歳星」これも定家自身が見た記録ではない.

1181年にカシオペヤ座に2ケ月程見えた新星にも明月記に以下の文章がある.「治承五年六月廿五日,庚午戌時客星見北方,近王良守伝舎星」.中国では半年見えていた.

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参考文献

斉藤国治「飛鳥時代の天文学」1982,p13-103,河出書房新社
佐藤政次「暦学史大全」1968,p.70-73,135-138,189-200,駿河台出版社
日本学士院編,1979「明治前日本天文学史」p.423-482,臨川書店