こと座の神話

音楽の名人,オルフェウスの持っていた竪琴が,こと座になった.

オルフェウスが琴をならすとその美しい音色に全ての動物が静かに聞き入った.やがてオルフェウスはエウリディケを花嫁に迎えるが,婚礼の夜にたいまつの煙が目に入ったエウリディケは涙を流してしまう.花嫁の涙は不幸が訪れる前兆であり,数日後エウリディケは毒蛇にかまれて死んでしまう.悲しんだオルフェウスはエウリディケを連れ戻す決心をして死の国の入口を見つけ入っていく.

オルフェウスは琴を一心に奏でながら進んでいった.すると,首を三つ持つ怪物の犬ケルベロスもほえるのを止めてしまう.ついにオルフェウスは死の国の王プルートの前に発ち「エウリディケを今一度地上に返してください」と懇願する.プルートは死の国の掟を変えることは許さなかったが,妻のペルセホネがオルフェウスの琴の音色に心打たれプルートを説得する.そこで,プルートは「地上に出るまでは妻を見てはならぬ.その約束ができるならエウリディケを地上に返そう」と約束する.もちろんオルフェウスは約束をし,はやる心を抑えて地上に向かって歩き出す.ところが,地上へ帰る長い道のりの途中,妻の足音がしないと不安にかられたオルフェウスは,地上に出る直前で妻の方を振り返ってしまった.

約束を破ったためにエウリディケはふたたび地獄へと戻され,オルフェウスは絶望のあまり川に身を投げた.後に残った竪琴が大神ゼウスに拾われ,空にあげられたという.

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