月食は太陽−地球−月が一直線に並び，地球の影の中に月が入る現象で，満月 の時に起こる．

満月は平均すると約29.53日（朔望月）の周期で繰り返されるが，月食が満月 ごとに起こらないのは，太陽の回りをまわる地球の軌道面（黄道面）と月の軌道面（白道面）が約5.1゜傾いているためである．月が黄道面付近（月の軌道の昇交点，降交点付近）にないと満月の時でも月食は起こらない．
月食の時は，地球上で月が見られる場所（夜の部分，地球上の約半分の地域）では，どこでも同じ現象を見ることができる．これに対して，日食は地球上の一部でしか見ることができない．そのため地球上で食の起こる回数は日食の方が多いが，ある場所で見える食の回数は月食の方が多くなる．

	池内了，他編，理科年表副読本『曇った日の天文学』（丸善）