光害(ひかりがい)

市街光によって夜空が明るくなって星が見えにくくなったり,夜間照明によって動植物の自然な活動が狂わされたり,不適切な照明によって,人間の生活に悪影響が生じたりする状況,またはその悪影響.

照明は,その目的のためには通常下向きの光のみが必要であるが,水平方向,上向きにも多くの光が放射されることが多い.この目的外の方向への光を「漏れ光」と呼ぶが,これが空に向かうと,空気中の分子・チリによって散乱され,夜空が明るくなる原因となって天体観測に悪影響が生じる.また,漏れ光は,街路樹の紅葉時期を早めたり,孵化したばかりのウミガメの子が向かうべき海の方向を誤ったりするなどの動植物への悪影響も指摘されている.さらに,漏れ光が人家に侵入したり,水平方向の光が目にまぶしすぎて,かえって照明が照らすべき地面を見えにくくする場合もある.このような状況またはその悪影響を光害と呼ぶ.

以前は光害を「こうがい」と読んだが,公害と紛らわしいこともあって,現在は「ひかりがい」と読む.

1998年に環境庁は地域の特性に応じて良好な照明環境を作るために,「光害対策ガイドライン」を策定した.

天体観測施設のある地方自治体では,光害防止のための条例を制定しているところもある.

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参考文献

環境庁,1998,光害対策ガイドライン