大赤斑 Great Red Spot

木星にある大きな赤い斑点状の模様.南緯20度付近にある.

大赤斑の発見者はガリレオで,彼の17世紀のスケッチ以来3世紀以上に渡って消えることなく存在しているらしい.(ただし18世紀頃,記録が途絶えている時期がある)

この大きな赤い斑点は,木星大気の巨大な渦巻で,地球が三つくらい入ってしまうほどの大きさを持っている.大赤斑の赤い色は,赤色のリン化合物による色と考えられている.大赤斑は赤外線観測で表面の温度が低く観測されることから,周囲のアンモニアの雲の高度よりも高い所まで広がっているらしい.このことは大赤斑内に強い上昇流があることを示唆している.しかし,下方の構造についてはよくわかってはいない.

大赤斑のような渦の構造が,木星のように大気の動きが激しいところで長期間に渡って安定して存在している理由としては,現在ソリトンという波動の一種で数値シミュレーションして説明しようとする試みが行われているが,まだ詳しいことは判っていない.

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参考文献

森山茂「惑星の気象」,清水幹夫編『惑星の科学』朝倉書店,1993年