マゼラン(アメリカ)

1989年5月に打ち上げられたアメリカの金星探査機.アメリカとしては11年ぶりの惑星探査機で,初めてスペースシャトルから打ち上げられた探査機でもある.探査機本体の重量は1035kg.

マゼラン探査機は1990年8月に金星を回る軌道に入り,周期3.25時間の極楕円軌道で金星を周りながら,電波を出して金星表面にぶつけ,反射波をとらえて観測する方法で,厚い雲を通して金星表面の地形を観測した.波長の長い電波で高い分解能を出すため,2周回分のデータを地球で合成する開口合成の方法がとられ,分解能300mで表面の98%を観測した.

初めの1年がサイクル1で表面観測を行い,延長となった1991年9月からはサイクル1でとれなかった金星の南極部分(サイクル2)やレコーダーの故障によるテープ巻き戻し時の空白部分を観測し(サイクル3),重力場観測を行い(サイクル4),エアロブレーキを使って高度を下げて円軌道に入り,詳細な重力の測定を行った(サイクル5).1994年10月,金星大気に突入させてミッションを終了した.

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参考文献

Jane's「Spacecraft Directory」Interavia
宇宙開発事業団編,NASDAノート95,宇宙開発事業団,
インターネットのホームページ