はるか

スペースVLBIによる電波観測を目的とした,史上初の電波望遠鏡衛星.開発は宇宙科学研究所(ISAS),開発名MUSES-B.1997年2月12日,560×21400km,傾斜角31度の楕円軌道に打ち上げられた.

はるかは,通称VSOP(VLBI Space Observatory Program)の名称で開発が進められた実験衛星である.地上の遠く離れた電波望遠鏡で,同時に1つの天体を観測し,そのデータを合成して干渉させ,まるで超大口径の望遠鏡であるかのように高い分解能をえるVLBI(超長基線電波干渉計)という電波観測の方法があるが,それを地上の望遠鏡と人工衛星間で行おうとするものである.このテストが1986年にアメリカのTDRSS通信衛星と臼田の64mアンテナ,オーストラリアの電波望遠鏡間で成功し,1987年にMUSES-B計画がスタート,JPL等多くの国際協力をえて,1997年2月12日に日産自動車のM-Vロケットの初打ち上げの積み荷として1000×20000kmの軌道に打ち上げられた.アンテナ部分は三菱電機,観測機器部分は日本電気が製作.

衛星は口径8m,観測する波長は22,5,1.6GHz.分解能は理論的には0.0001秒角が可能である.同年5月に地上の電波望遠鏡との同時観測で干渉縞検出に成功し,1998年11月現在運用中.

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参考文献

Jane's,Spacecraft Directory,Interavia
宇宙開発事業団編,NASDAノート95,宇宙開発事業団