軌道変更

人工衛星は,打ち上げられた時の最初の軌道から,より好ましい軌道へスラスター噴射をして移ることが多い.人工衛星の軌道変更は,大きく分けて次の2種がある.

  • 楕円軌道→楕円軌道(円軌道もふくむ)
  • 楕円軌道(パーキング軌道)→双曲線軌道(地球を脱出する軌道)

軌道変更では,1軌道面の傾き,2半径・離心率の2要素が変化する.軌道変更の時に使用する軌道を,総称してトランスファー軌道という.2種の軌道の間の移行を,最小のエネルギーで行う軌道をホーマン軌道という.ホーマン軌道は楕円軌道になる.惑星探査機のとる軌道の場合は,軌道面の変更がないので,地球軌道から出発し近地点か遠地点で,目的の惑星の周回軌道にのりいれる軌道になる.しかし,惑星探査機は,地球と惑星が軌道上のどこにいるかで,ホーマン軌道にすることができない場合が多い.ある天体とのランデブーを目的とするトランスファー軌道をランデブー軌道という.ランデブー軌道は,ホーマン軌道より多くの燃料を必要とする.ランデブー軌道でも,非常にホーマン軌道に近いコースをとるのが,実際の惑星探査機で,この軌道を准ホーマン軌道という.軌道変更の過程で,一時待機に使用する軌道をパーキング軌道という.

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参考文献

室津義定「宇宙航空力学」共立出版
西村敏充「宇宙工学入門」オーム社
宇宙開発事業団「スペースノート」