対流圏

地球の地上高度約11kmまでの領域であり,高度が上がるとともに気温が下がる.

対流圏は熱輸送と物質の混合が特徴であり,気象現象はほとんどこの領域でおこっている.地球大気は赤外線に対して比較的透明であるため,太陽放射は直接地表面を加熱する.この熱は熱伝導により大気を暖め,暖められた大気は断熱的に上昇し,膨張してエネルギーを空で放出する.

また,地球は球形をしているので赤道域と極域で温度差が生じ,自転の効果も合いまった結果,大気大循環と呼ばれる地球規模の大気の移動が生み出される.赤道域では強く加熱されるので,上昇気流が発生する.この上昇気流は緯度30°あたりで下降する.これはハドレー循環とよばれ,赤道面に対して対象である.そして緯度30°〜90°辺りでは,地球の自転の効果によって自転軸とは非軸対称的な波動が卓越する.これらの波動を東西平均すると,ハドレー循環とは逆向きのフェレル循環と同じ向きの極循環がみられることになる.

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参考文献

松井孝典,田近英一,高橋栄一,柳川弘志,阿部豊,1996「岩波講座 地球惑星科学1 地球惑星科学入門」p63ー65,岩波書店