海洋 Ocean

海洋は地球表面の約70%を覆っている液体の水を主成分とする領域である.その平均深度は約3.8kmである.表層水と深層水に大別され,約2000年かけて海洋大循環を行なっている.

海洋を構成する海水は,液体の水と微量の塩類から成る.塩類は,河川から流入するイオンが主である.海水中の塩類の重量比を塩分濃度といい,海水1kg中に含まれるグラム数(‰)で表わす.平均的な海水の塩分濃度は約35‰である.

海洋は,それぞれの海域で温度や塩分濃度が決まると考えられる表層水と,特定の海域でできた冷たく重い水が沈んで広がったと考えられる深層水とに大別できる.現在は,北大西洋北部と南極周辺でできた冷たく重い水が深層水となって,約2000年かけて全海洋に広がる海洋大循環が起きていると考えられている.

生物の代謝活動によって消費されるリン,窒素,硅素などの元素は生物制限元素と呼ばれ,表層水中にはほとんど存在しない.これら元素は生物の死骸として深層水中にもたらされる.炭素,カルシウムなども生物の活動で消費されるが,表層水から完全に欠乏することはない.これらは半生物制限元素と呼ばれる.生物活動がなければ,海洋の垂直方向の物質分布は均一になると考えられ,生物化学過程は海洋大循環とともに海洋における物質循環を担う重要な過程となっているといえる.

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