|
地球は長い時間スケールで見ると流体のように振舞う.マントルで生じる対流をマントル対流と呼び,プレート運動の原動力と考えられてきたが,現在ではプレート自身の重みが主要因と考えられている. 物質循環の観点から見ると,マントル対流は地球の内部構造を決める重要な役割を担っている.なぜなら,対流運動は物質を混合するからである. マントル対流は1層とも2層ともいわれている.地下670kmには地震波の不連続面があるが,これが物質の相境界があるためなのか,化学組成境界があるためなのかという問題と,マントル対流が1層であるか2層であるかという問題は,深く関係している. また,対流が起きている領域の温度構造は断熱温度勾配に近いと考えられるが,マントル対流が1層であるか2層であるかによってマントル全体の温度構造は大きく異なってくる. マントル対流のパターンを決める問題は,地球の内部構造の研究の主要なテーマの一つである. |