月は見かけ上毎月東西に約7°の振幅で振れる.これを“見かけの経度秤動”と呼ぶ.このため,地球からは月表面の59%が見える.これは月の極軸は月の軌道面から約5°傾いており,18.6年周期ですりこぎ運動をしている.自転はほぼ一定であるが軌道運動は一定でないために起こっている. 厳密には,月の自転も一様でない.また,非常に小さいが歳差や章動,極運動が加わり自転軸や自転速度もわずかだが変化している.このことを“物理秤動”という.
小田稔 監修 1987 宇宙・天文大辞典 丸善株式会社