ジャイアント・インパクト説

月の起源については,現在でもまだはっきりとは分かっていないが,最近注目を集めている説が「ジャイアントインパクト説」である.これは,地球が形成されて間もない頃に,現在の火星くらいの大きさの天体が浅い角度で地球に衝突したとするものである.

衝突した天体は粉々になり,地球もその一部が壊れて宇宙空間に飛び散った.この飛び散った物質が再び集まって月になったという.この説の特徴は,月の岩石の化学組成がうまく説明できることである.

これまでの月の起源の説として代表的なものには,地球の一部が分離してできたという「親子説(分裂説)」,地球と同時に同じガスと塵から作られたという「兄弟説(集積説)」,太陽系の別の場所でできた天体が地球の重力で捕らえられたという「他人説(捕獲説」などがある.これらは,月の化学組成や月と地球の運動の関係などをうまく説明できるものではない.

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参考文献

ニュートン別冊 太陽系のすべて,1990年,教育社