天体捜索家、愛知県豊橋市の長谷田勝美(はせだかつみ)さんが、3月16日に独立して発見した新星らしき天体のスペクトルを美星天文台の101cm望遠鏡に取り付けられた分光器で撮影したところ、古典的な新星ではなく矮新星にしばしば見られる爆発現象であることがわかりました。 古典的な新星は、水素のバルマー線(Hα線656.3nm、Hβ線486.1nm、Hγ線434.0nmなど)に強い輝線が見られ、スペクトルは膨張する高温ガスの特徴を示します。一方、この天体の水素のHβ線とHγ線は幅広い吸収線として現れておりHα線にも強い輝線が見られないことから、矮新星とよばれる白色矮星と低温度星の連星系がしばしば起こす爆発現象「アウトバースト」が増光の原因で、美星天文台で観測したスペクトルは、アウトバースト中のスペクトルではないかと考えられます。 また、測光観測者によって矮新星の「スーパーアウトバースト」中に見られる特有の変光現象「スーパーハンプ」が観測されたことが報告されています。 矮新星では、白色矮星の周りに低温度星から流れ込むガスによって降着円盤ができていると考えられています。今回の爆発現象は、円盤に降着したガスが、ある限界に達したことで白色矮星に一気に落下することにより円盤が増光するアウトバーストと呼ばれる現象です。 |