津山市の多胡さんが、はくちょう座に新星を発見
美星天文台で確認に成功


 津山市の多胡昭彦 (たご あきひこ) さんが、はくちょう座に新星を発見されました。多胡さんは、2006年10月のカシオペヤ座のマイクロレンズ現象を検出されたり、これまでにも数多くの新星を発見されている天体捜索家です。
 多胡さんは、3月16日午前4時頃のデジタル一眼レフカメラで撮影した写真に、それまで見られなかった7.4等級の星が写っていることを発見しました。それ以前の3月13日未明に撮影した写真には、その星は写っていなかったことから、13日から16日の間に急激に明るくなった天体であることが分かりました。
 この急激に増光した天体が何であるのかを判別するには、この星のスペクトルを観測して詳しく調べる必要があります。美星天文台では、多胡さんからの依頼を受け、17日の未明にスペクトル観測を行いました。その結果、この天体が新星であることを確認しました。

 
 2007年3月18日午前4時頃に美星天文台で撮影したはくちょう座新星です。オレンジ色に見えている理由は、下のスペクトル見ると分かるように、波長の短い青い色の光より、波長が長い赤い色の光の方が強いからです。視野はおよそ10分角で、Canon EOS 20Dを口径15cmの屈折望遠鏡に取り付けて撮影しました。

 2007年3月17日未明に美星天文台で観測したはくちょう座新星のスペクトルです。水素のHα線(656.3nm)に2005年のいて座新星のスペクトルと同じように、P-Cygni輪郭と呼ばれる新星爆発初期にみられる特徴的なスペクトルが現れています。ただし、星間塵による散乱の影響からか、青い光(グラフの左側)が弱く、スペクトルが全体として右上がりになっています。

 日本時間の17日午前5時30分過ぎに、国際天文学連合天文電報中央局が発行する電子メールニュース(CBET 890)で多胡さんの発見した増光天体は、まず「新星らしい天体(Possible Nova)」として、全世界に配信されました。そして、同日午前8時30分過ぎに、美星天文台からこの天体が新星であることを天文電報中央局に電子メールで報告したところ。その2時間後、天文電報中央局の電子メールニュース(CBET 891)で、「はくちょう座新星2007(Nova Cygni 2007)」として、美星天文台と兵庫県立西はりま天文台公園の確認観測の結果が世界に配信されました。
 多胡さんが発見した新星は、この新星で五個目で、2004年の「とも座新星」以来となります。

【参考文献】
 VSOLJ ニュース (172) 多胡さん、明るい新星をはくちょう座に発見
 CBET 890 (2007 Mar. 16)  POSSIBLE NOVA IN CYGNUS
 CBET 891 (2007 Mar. 17) NOVA CYGNI 2007
[掲載日:2007.3.18]





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