太陰太陽暦

太陰とは月のことである.したがって,月の運行と太陽の運行両方に基づく暦を太陰太陽暦という.明治5年まで日本は太陰太陽暦を使っていた.

出版が発達しておらず,時計が普及していない時代では,毎日変化がよくわかる月は天然のカレンダーとして便利なものであった.そこで,世界各地で太陰暦が作られ盛んに使われた.

しかし,月は29日あまりの周期で満ち欠けを繰り返すため,これの整数倍が1年間にならない.これは季節と結びつかず自然を相手にするさまざまな産業にとっては不便であった.そこでやや複雑な決定法で,太陽の運行にあわせた折衷的な暦が普及した.これが太陰太陽暦である.日本でも明治5年以前は太陰太陽暦を採用していた.

これに対して,現在日常的に使っている暦は太陽暦である.また,イスラム教社会では月のみを基準にした太陰暦も使われている.季節の変化が分かりづらい地域が多いためであろうが,実際には節気を導入しているので,純粋な太陰暦とはいえない.