1年を5日ごとの72区間にわけ,季節にふさわしい名前をつけて時候の推移を表したものである.
72の区分けは,二十四節気を3つにわけて行う.七十二候は,古代中国人が作成したもので,動植物の変化や自然現象を季節に表したものである.これが日本に移入されるさい,季節感などが違うため,江戸時代の天文学者である渋川春海らによって,日本の気候風土にあった七十二候(本朝七十二候)がつくられた.なお,5日ごとの区切りにすると,時に端数が生じるが,そのあたりは暦により運用が違ったようである.以下では,宝暦暦七十二候と,歳時記などに採用される現代中部日本七十二候を併記した.
七十二候は,立春から以下の通り.
| 宝暦暦七十二候 | 現代七十二候 |
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一候 | 東風解凍(とうふうこおりをとく) | 果樹剪定 |
二候 | 黄鶯睨[目完](くほうをうけんくはんす):うぐいす | 雑草焼却 |
三候 | 魚上氷(うおこほりにのぼる) | ツバキ開花 |
四候 | 土脉潤起(とみゃくうるほひおこる) | スイセン開花 |
五候 | 霞始靆(かすみはじめてたなびく) | ウグイス鳴始め |
六候 | 草木萌動(さふもくきざしうごく) | 梅開花・雲雀鳴 |
七候 | 蟄虫啓戸(ちっちうこをひらく) | ネコ柳開花 |
八候 | 桃始笑(ももはじめてわらう) | 積雪終 |
九候 | 菜虫化蝶(なむしてうとけす) | タンポポ開花 |
十候 | 雀始巣(すゞめはじめてすくふ) | 終雪・菜種開花 |
十一候 | 櫻始開(さくらはじめてひらく) | スミレ開花 |
十二候 | 雷乃発声(らいすなわちこゑをはっす) | 結氷終り・蛙鳴きはじめ |
十三候 | 玄鳥至(げんてういたる) | 桜満開 |
十四候 | 鴻雁北(かうがんきたす) | レンゲ開花 |
十五候 | 虹始見(にじはじめてあらわる) | 終霜・海棠開花 |
十六候 | 葭始生(よしはじめてしょうず) | ヤマツツジ開花 |
十七候 | 霜止出苗(しもやあんでなへいづ) | ボタン開花 |
十八候 | 牡丹華(ぼたんはなさく) | フジ開花 |
十九候 | 蛙[旧字体が正しい]始鳴(かいるはじめてなく) | トンボ出現 |
二十候 | 蚯蚓出(きういんいづる):みみず | 春蚕掃立 |
二十一候 | 竹笋生(ちくかんしょうず):たけのこ | カッコウ鳴始め |
二十二候 | 蚕起食桑(かいこおこってくわをくらふ) | 梅雨走り |
二十三候 | 紅花栄(こうくはさかふ) | ナンテン開花 |
二十四候 | 麦秋至(ばくしゅういたる) | ホタル出現 |
二十五候 | 蟷螂生(とうらうしょうず) | 入梅・ビワ成熟 |
二十六候 | 腐草為蛍(ふそうほたるとなる) | タチアオイ開花 |
二十七候 | 梅子黄(うめはじめてきなり) | アジサイ開花 |
二十八候 | 乃東枯(ないとうかるる) | カヤつり始め |
二十九候 | 菖蒲華(しょうぶはなさく) | 冷房始め |
三十候 | 半夏生(はんげしょうず) | 水田除草 |
三十一候 | 温風至(おんふういたる) | ネムノキ開花 |
三十二候 | 蓮始開(はちすはじめてはなさく) | 梅雨明け |
三十三候 | 鷹乃学習(たかすなはちがくしうす) | アブラゼミ鳴く |
三十四候 | 桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ) | オミナエシ開花 |
三十五候 | 土潤溽暑(つちうるほうてじょくしょす) | ナデシコ開花 |
三十六候 | 大雨時行(たいうときときおこなう) | 極暑 |
三十七候 | 涼風至(りょうふういたる) | 樹木下刈 |
三十八候 | 寒蝉鳴(かんせんなく) | コオロギ鳴始め |
三十九候 | 蒙霧升降(もうむしょうごう) | サルスベリ開花 |
四十候 | 綿柎開(めんぷひらく) | 台風季節入り |
四十一候 | 天地始粛(てんちはじめてしくす) | ハギ開花始め |
四十二候 | 禾乃登(くはすなはちみのる) | ススキ出穂 |
四十三候 | 草露白(そうろしろし) | モズ鳴始め |
四十四候 | 鶺鴒鳴(せきれいなく) | ヒガンバナ開花 |
四十五候 | 玄鳥去(げんてうさる):つばめ | ツバメ渡去 |
四十六候 | 雷乃収声(らいすなはちこゑをおさむ) | カキ成熟 |
四十七候 | 蟄虫坏戸(ちっちうこをはいす) | アズキ成熟 |
四十八候 | 水始涸(みずはじめてかる) | ラッカセイ成熟 |
四十九候 | 鴻雁来(かうがんきたる) | ガン渡来 |
五十候 | 菊花開(きくくはひらく) | キク開花始め |
五十一候 | 蟋蟀在戸(しっそくこにあり) | カモ渡来 |
五十二候 | 霜始降(しもはじめてふる) | サザンカ開花 |
五十三候 | 霎時施(しぐれときときほどこす) | ヘビ蟄居 |
五十四候 | 楓蔦黄(ふうかつきなり):紅葉 | 初霜 |
五十五候 | 山茶始開(さんちゃはじめてひらく) | 畜舎防寒 |
五十六候 | 地始凍(ちはじめてこほる) | ムギ発芽 |
五十七候 | 金盞香(きんさんかうばし) | キリ落葉 |
五十八候 | 虹蔵不見(にじかくれてみえず) | コタツ使用始め |
五十九候 | 朔風沸葉(さくふうはをはらふ) | 結氷始め |
六十候 | 橘始黄(たちばなはじめてきなり) | 暖房始め |
六十一候 | 閉塞成冬(へいそくふゆとなる) | 初雪,霜柱始め |
六十二候 | 熊蟄穴(くまあなにちっす) | ミカン貯蔵 |
六十三候 | 鮭魚群(けつぎょむらがる) | 根菜類貯蔵 |
六十四候 | 乃東生(ないとうしょうず) | つみ肥積込み |
六十五候 | 鹿角解(びかくげす) | 積雪始め |
六十六候 | 雪下出麦(せっかむぎをいたす) | タコ出盛り |
六十七候 | 芹乃栄(せりすなはちさかふ) | 牡蠣出盛り |
六十八候 | 水泉動(すいせんうごく) | 水道凍る |
六十九候 | 雉始鳴(ちはじめてなく) | 根雪始め |
七十候 | 欸冬華(くはんどうはなさく) | マグロ出盛り |
七十一候 | 水沢腹堅(すいたくふくけん) | 極寒 |
七十二候 | 鶏始乳(にはとりはじめてにうす) | 干大根作り |
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