連星 binary star

2つの星がお互いに重力的な影響を与えあい,結合した状態にあるものを連 星(連星系)と呼ぶ.

連星系(あるいはもっと多くの星と重力的に結びついた多重星系)を成す星は決して珍しいものではなく,むしろ単独で存在している星の方が少ない.また,一般に,連星を成す星のうち,明るい方を主星,暗い方を伴星と呼んでいる.
連星を成す星は,共通の重心を持ち,その周りを楕円(もしくは円)軌道を描いて運動しているわけだが,2つの星の間の距離やその周期によって,観測技術を使い分ける必要が生じ,その結果いくつかの呼び方がある.まず,十分にお互いの距離が離れている連星ならば,望遠鏡などを用いて直接観測できる場合があり,このような連星は実視連星と呼ばれる.お互いが近接していて直接観測できない場合でも,ドップラー効果によるスペクトル線の周期的変動を測定することによって,視線方向に沿った速度成分(視線速度)が検出できるので,そこから連星であると判断できるものを分光連星と呼ぶ.また,2つの星が十分に近接しており,軌道面が適度な方向(地球のある方向)を向いている場合には,2つの星は食現象を起こし,地球から見ると連星が光度変化を起こしているように見える.このような連星は食連星(食変光星)と呼ばれる. 

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参考文献

小田稔 1987 「宇宙・天文大辞典」 丸善株式会社