恒星の空間分布 Star's Distribution

1785年,ウイリアム・ハーシェルは「天界の構造について」という論文を発表し,恒星が天の川を中心として円盤状に分布していることを明らかにした.それによると,宇宙は直径が850シリウス距離,厚さが155シリウス距離で,その中心に太陽がいる.これは,恒星の数の分布を空間分布に変換したもので,今日から見れば誤りであるが,円盤状の分布を明らかにしたことは評価されるべきであろう.

なお,ハーシェルは,発表後に行った研究により,結果を導き出す過程が誤っていることに気がつき,上記の結果を1800年はじめに破棄している.

注)シリウス距離とはシリウスまでの距離を単位としたもので,当時ニュートンによって算出していた6.5光年を採用すると約5500光年,厚さ約1000光年になる.現在知られている8.6光年を使うと,直径7310光年,厚さ1333光年になる.

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参考文献

桜井邦朋「天文学史」朝倉書店,1990
斉田博「近代天文学の夜明け−ウィリアム・ハーシェル」誠文堂新光社
Dreyer,J,E (ed.)「Scienctific Papers of W.Herschel」1912