流星バースト通信

流星によって生じる電波反射帯(流星バースト)を利用して行う通信.水平線の下になる地域との通信が可能となる.無料の通信衛星ともいわれる.MBC:Meteor Burst Communication.

流星バースト通信は,アマチュア無線家が利用するメテオールスキャッタリングと同じ原理に基づいている.つまり上空の流星が天然の通信衛星として利用するものである.流星となって光るガスは,通常は大気を突き抜けてしまうVHF帯(30〜150Mhz)の電波もよく反射するためにこのようなことが行え,最大で2000kmも離れたところと通信ができる.通信経路は数秒から数分間たもたれる.

流星はいつどこでおこるかわからないので,実用的に使うのは困難だった.ただ,近年の電子技術の発展により,流星により通信経路ができた瞬間をとらえて通信をする技術が実用化されており,これを流星バースト通信という.この通信は電話やテレビのように連続的に情報をやりとりするのには向かないが,広大な森林の各所や,遠くの灯台やブイの情報を時々知るのであれば,十分実用になる.通信衛星登場以前の1950年代から実験がはじめられ,一部,実際に使われており,実用的には35〜50Mhzの低VHF帯域が使われている.日本では静岡大学や海上保安庁などでより高度な通信法の研究開発が行われている.

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参考文献

福田明「流星バースト通信」1997年,コロナ社