歳差

地球の自転軸の方向および公転軌道面の永年変化によって生じる春分点(および秋分点)の位置の永年変化.自転軸の永年変化は太陽および月の作用により,公転軌道面の変化は惑星の作用によって起こる.自転軸の変化から起こる歳差を日月(じつげつ)歳差,公転軌道面の変化から生じる歳差を惑星歳差といい,両者を総合したものを一般歳差という.一般歳差は周期的変化と非周期的変化に分けられる.周期的変化を章動という.

歳差の存在はギリシャ時代ヒッパルコスによって発見された.主に影響の大きい日月歳差で春分点の位置は黄道上を毎年約50"西にずれていく.従って春分点・夏至点に対して星座はしだいにずれる.また,天の北極は黄道の北極から23.4度の小円上をおよそ26000年で移動する.その結果,北極星も時代と共に変化する.BC3000年にはりゅう座α星,AD9000年頃にははくちょう座α星(デネブ)が,AD12600年頃にはこと座α星(ベガ)が北極星となる.

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参考文献

鈴木敬信著「天文学辞典」地人書館
古畑正秋編「天体観測辞典」地人書館