人工衛星の軌道要素

軌道要素とは天体の軌道を表すもので,これがわかればその天体の将来や過去の位置も計算できる.

地球上空の人工物体を監視しているアメリカ,スペースコマンドの宇宙監視センター(SSC: コロラド州シャイアン・マウンテンの花崗岩をくり貫いた山中にある)には,世界中に展開している18のレーダーと4カ所の光学望遠鏡から,毎日何万という人工衛星の観測データが集まってきていて.このデータから,各人工衛星の軌道が計算されている.

人工衛星の軌道要素の表しかたで,とくに広く使われているのがSSCが計算で出している,2行要素(Two-Line Element. 以下TLE)といわれているものであり.SSCの計算結果から,一部アメリカの軍事衛星のものなどをのぞいてNASAのゴダード宇宙飛行センターにも転送されている.以下はスペースシャトルのTLEの例.


1 23500U 95007A 95061.64457404 .00011689 00000-0 86071-4 066
2 23500 28.4639 87.0110 0008657 258.9312 101.0267 15.7226881374

衛星番号や国際標識,公転数などは軌道要素そのものではない.

離心率衛星の軌道は一般に楕円軌道で,2つの焦点F1, F2からの距離の和が一定(F1S+F2S=一定)になるような場所を鉛筆でなぞっていくと,その曲線が楕円です.
元期(げんき)軌道要素は変化していくので,いつの時点のデータであるのかを示す.時刻系は協定世界時(グリニッジ標準時)で,1月0日0時0分0秒から何日たったかで表す.
平均近点角元期において,衛星が軌道上のどこにいたかを表す.単位は「度」.地球の中心から見て,近地点から何度回ったところにあったか,を示す(円軌道の場合)
平均運動衛星が1日に地球を何周するかを表す.平均運動から軌道の長半径も計算できる.大気によるブレーキ効果の影響が大きいと,平均運動の変化率も大きくなる.
軌道傾斜角
(i)
衛星が南半球から北半球側に向かう赤道面上の交点(昇交点)において,赤道面に対する軌道面の傾きを表す.単位は「度」.
昇交点赤経
(Ω)
地球の中心から見て,春分点方向と昇交点の間の角度.この角度は春分点方向から東回りに計る.
近地点引数
(ω)
地球の中心から見て,昇交点方向から,軌道上で最も地球中心に近い点(近地点. 図の 点P)までの角度.

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