人工衛星は,最低でもジャンボジェットが飛ぶ高度の10倍以上の高度を飛ぶので,打ち上げはロケットによる強力な推進力を使う以外はない.どの衛星でも,地球の自転を利用すると,ロケット燃料が節約できるので,地表の回転速度が大きい赤道近くで,真東に向かって打ち上げるのが理想的である.
人工衛星を上げるような大型ロケットの打ち上げ場は,様々な事故に備えられる場所でなければならないので,世界で20数箇所ほどしかない.現在,多くのロケットは垂直打ち上げで,その後噴射ノズルの方向をかえる等で目的の軌道に向かう.このコース変更は,ロケットに搭載したジャイロによる慣性誘導が主流で,コースからずれた場合は地上からの命令で修正を行う.目的の高度に達すると,衛星を放出し,残ったロケットは機能を停止する.スペースシャトル以外のほとんどのロケットは使い捨て式である.
燃えつきた燃料タンクは第1段(一番下の段)と2段は地上に落下するが,他は大気圏に突入して燃えつきるか,人工衛星となって地球を回ることが多い.世界のロケット射場は海や荒野に隣接しており,ロケット打ち上げ時には船舶等に規制が出るので危険は少ない.ロケット本体がうまく上がらず地上につっこみそうな場合は,地上からの命令で即座に爆破される.
参考資料
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斉藤利生「宇宙工学概論」地人書館
「スペースノート'95」宇宙開発事業団
「これでわかる世界の衛星」ITU協会
室津義定「宇宙航行力学」共立出版
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