ロケットは,ジェットエンジンによる飛行物体で,燃焼に必要な燃料と酸化剤を自分自身に内蔵するものをいう.現在のロケットは,19世紀後半のロシアのツィオルコフスキーが原理を考え,20世紀始めのアメリカのゴダード,ドイツのオーベルトにより実験が行なわれ基礎が築かれた.その後第2次世界大戦末にドイツのフォン・ブラウンがV-2ロケットを開発し,実際に軍事に使用されたが,1957年にソ連がロケットでスプートニク号を打上げ,宇宙利用の幕があいた.
現在のロケットの種類は,液体燃料と固体燃料,再利用が可能なものと不可のもの,静止衛星打ち上げ可と不可,公営と民営などに分けられるが,最もわかりやすいのはロケットのシリーズ名による分類である.開発系統が同じだからである.公営・民間の様々なロケットがあるが,重量や予算,友好関係等に応じて人工衛星の所有機関が,ロケットを選択して契約する.たとえば1994年には,123個の人工衛星が打ち上げられたが,ロッキード・マーティン社のアトラスが7,タイタンが3,アリアンスペース社のアリアンが8,マクダネルダグラス社のデルタが3,NASAのスペースシャトルが7,ペガサスが3,中国の長征が5,インドのASLV/PSLVが計2,CISのソユーズが14,プロトンが11,その他が20機程打ち上げられた.日本は1994年にH-2が3機上がった.主な現役ロケットの特徴は以下の表のとおり.
名称 | 能力 t/GTO | 重量 t | 価格 百万$ | 製造機関 | 成功率 % |
タイタン4= セントール | 5.8 | 940 | ? | ロッキードM | 91 |
商用タイタン3 | 5.0 | 680 | 110 | ロッキードM | 75 |
ゼニトSL-16 | 5? | 466 | ? | CIS | 84 |
プロトンSL-12 | 4.8 | 690 | 35 | CIS | 96 |
アリアン44L | 4.2 | 484 | 110 | アリアンスペース | 92 |
H2 | 4.0 | 270 | 160 | NASDA/三菱重工 | 100 |
スペースシャトル | 3.5 |
| 110 | ロックウェル | 99 |
アトラス2= セントール | 3.0 | 187 | 60 | GD/ロッキードM | 100 |
長征CZ-3A | 2.3 | 204 | 30 | 中国 | ?
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デルタ2(7925) | 1.8 | 232 | 50 | マグダネルダグラス | 100 |
M5 | 0.8 | 130 | 4.6 | ISAS/日産自動車 | ? |
PSLV | 0.5 | 283 | 15 | インド | 50 |
スカイラーク7 | 0.3t 低軌道 | 2 | ? | イギリス/マトラ | 96 |
ペガサスXL | 0.2 | 22 | 12 | OSC=アライアント | 78 |
ソユーズSL-4 | 7t 低軌道 | 310 | 15 | CIS | 97 |
参考資料
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「Jane's SPACE DIRECTORY,1995-96」International Tompson Pub.
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