対流層

太陽内部の0.7太陽半径から表面直下までの範囲では,中心核で発生したエネルギーが物質とともに運ばれる対流状態にある.

あるガスのかたまりがあったとして,なんらかの原因でそれが周囲のガスの温度より高くなれば,かたまりは膨張し密度が下がって浮上する.このときかたまりの温度は下がるが,もし周囲の温度の下がり方が大きければ,ガスのかたまりはそのまま浮上しつづけることになる.これが対流の原理である.

太陽内部で,このような対流の条件が満たされているのが最初に示した範囲である.ここでは電離状態にある水素が膨張・上昇すると,温度が下がることによって水素原子核と電子が再結合し,中性の水素原子に戻る.その際紫外線が放射され,これがガスに吸収されることでその温度が上がることになる.したがってガスのかたまりは膨張するものの温度はそれほど下がらず対流の条件が満たされるわけである.

対流は物質の移動であり,特に電離した粒子が運動することによる磁場の生成など,太陽活動の根幹に関わっているのが対流層の存在である.

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