太陽 Sun
参照:太陽の諸量 太陽の構造

太陽は地球に最も近い恒星であり,表面の様子を詳しく観測することができる唯一の恒星でもある.

表面温度は約6000度,スペクトル型ではG2に分類される主系列星である.誕生してから約50億年という壮年期の恒星で,寿命はあと約50億年と推定されている.太陽のエネルギーは主に電磁波,特に紫外線・可視光・赤外線として放出されている.これは6000度の黒体輻射のエネルギー分布にほぼ対応するものである.太陽から放射される全エネルギーは毎秒3.8×1026ジュールにもなる.このエネルギーのうち地球にやってくるのは約22億分の1であり,大気圏外で毎分1平方cmあたり約2カロリーとなる.この量を太陽定数という.最近の観測技術の発達により,あらゆる電磁波領域での太陽観測が可能となってきた.地上からでは,可視光や赤外線・電波の一部でしか観測できないが,大気圏外ではガンマ線・X線・紫外線・赤外線なども観測対象となる.太陽は光の範囲で見る限り非常に安定した星であるが,X線・紫外線で観測すると様相は全く異なる.この範囲ではコロナが観測されるが,ここでは1分以下のタイムスケールで激しく変化が見られる.コロナを見る限りは太陽は変光星といっても過言ではないであろう.

太陽からは電磁波以外のものもやってくる.中心核での核融合反応で発生するニュートリノは,他の物質と相互作用しないため観測がきわめて困難であるが,岐阜県神岡町のカミオカンデにより信頼できるデータが蓄積されつつある.また太陽風とよばれる高速(秒速約400キロメートル)プラズマ流が観測される.飛来する荷電粒子は地球磁気圏と相互作用し,たとえば両極地方で見られるオーロラなどがその例である.さらにコロナル・マス・イジェクションに伴って高エネルギー粒子が飛来することがあり,電波擾乱や送電システムの破壊などといった影響が地球にもたらされる場合もある.

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