コロナ

太陽の大気の最外層にあたる.コロナは200万度という高温のプラズマであり,そのため原子は電子の大部分をはぎとられたプラズマ状態となっている.

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コロナでは光球からの光が,自由電子によってトムソン散乱されているので,光球と同じ白色に輝いている.ただしその明るさは光球の100万分の1程度であるため,皆既日食時のように特別の場合しか見ることができない.

一方,コロナの光を分光して詳しく調べると,緑色や赤色の領域に輝線が観測される.地球上ではこれに相当する物質がないため,コロナ中には別種の元素が存在するのでは,と考えられたこともあったが,これらの輝線は電子を13個なり9個もはぎとられた鉄によるものであることが分かった.

コロナの構造をよく調べると,細い流線からなっていることが分かるが,これはコロナ中の磁場構造を反映している.彩層と同様,コロナにおいてもその形を決めているのは磁力線なのである.

X線で太陽を観測すると,コロナを正面から観測することができるが,黒点などの活動領域上空では,コロナは明るく輝いて見える.また,活動領域間をつなぐような大規模な構造も観測することができる.一方でコロナルホールのように暗い領域が広がっている部分も存在する.

コロナがなぜ高温なのかはまだ定説はないが,フレアよりずっと規模の小さい磁気エネルギー解放現象がたくさん発生していてコロナを加熱しているという考え(マイクロフレア説)や,光球下での振動現象が磁力線に沿って上空に伝わりこれが衝撃波となってコロナを加熱するという考え(電磁流体波説)などが出されている.

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