スペクトル型

恒星を,そのスペクトルの見え方によって分類したもの.

太陽の光をプリズムにあてると,きれいな光の帯ができる.この光の帯のことをスペクトルという.プリズムの代わりに分光器という器械を使うと光の帯を拡大することができる.拡大されて連続した明るいスペクトルの間には多くの黒い線(暗線)がを見ることができる.一般に,低温の気体は高温のときに発する光と同じ波長の光を吸収する性質を持つことが分かっている.このようして黒い線(暗線)を作るので吸収線,または発見者の名前をとってフラウンホーファー線と呼ぶこともある.

恒星の場合にも分光器を使うことでスペクトルを作ることができる.恒星のスペクトルは,恒星のまわりを取り巻いている大気が恒星の光球よりも低温であるために,大気中の原子によってその特定の波長を持つ光が吸収される.また恒星によっては,輝いた線(輝線)が見られることもある.

このスペクトルは恒星の色によってだいぶ違い,吸収線の強さや並び方によって,その恒星のいろいろな性質が分かる.

スペクトルの中の色の強弱や吸収線の表れ方は,恒星の表面温度によって決まってくる.そこで,スペクトルをいくつかの型にまとめ,表面温度の高い順に,O,B,A,F,G,K,Mの各型に分ける.これを恒星のスペクトル型という.例えば,表面温度が6000度で黄色く見える太陽はG型星となる.

以下は代表的な星をスペクトル型に当てはめて分類してみたものである.

表面温度
O型25000以上オリオンの三ツ星
B型11000〜25000青白スピカ,レグルス
A型7800〜11000シリウス,ベガ
F型6300〜7800薄黄北極星,プロキオン
G型5300〜6300太陽,カペラ
K型4000〜5300アルデバラン
M型3000〜4000ベテルギウス,アンタレス

ks.gif

参考文献

現代天文百科 P32 (岩波書店)
天文・宇宙の辞典 P307〜309 (恒星社)
理化学辞典 P698 (岩波書店)
新版 星空のはなし P157 (地人書館)