世界時 UT,Universal Time

経度0度(グリニジ子午線)に太陽が南中するのが12時付近になるような時刻のシステム.特に,恒星の観測から,地球の自転に基づいて決めた時刻を,協定世界時と区別して世界時と呼ぶ事がある.

実際には位置が正確に知られている恒星を観測してその観測地の地方恒星時を求める.これは,パリに本部がある国際地球回転観測事業(IERS)が行っており,日本では文部省国立天文台が業務を受け持っている.そして,これとは別に計算される平均太陽の位置とこれとその地点の経度から,世界時が計算できる.この世界時がUT0で,これに極運動の補正を加えたのをUT1,さらに地球の自転速度の季節変化の補正を加えたのをUT2と呼ぶ.

時刻の基準としては,かつては上記の意味での世界時が使われていたが,現在では原子時計に基づいた協定世界時(UTC)にとって代わられた.但し,協定世界時はUT1との差が±0.9秒を越えないように管理されている.その意味で,現在のNTTやNHKの時報などの時刻(標準時)の基準は地球の自転に基づく世界時と原子時とを組み合わせて決められている.

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参考文献

池内,木下,新美,西村編「くもった日の天文学」(丸善)