ある条件をみたす天体の集合に対して,特定の項目のデータを表形式で集めたもの.
観測の生データに近いデータを集めたカタログもあるが,多くのカタログは観測データを整約して天体に固有な基本量を集めて記載している.天体の位置を例にとると,いろいろな日時に子午環などで観測されたその時点での位置を集めて,特定の元期・分点に引き直し,あるいは離れた元期の位置と比較して固有運動を計算する.このような過程を経て天体の位置カタログが作られる.(カタログに対して,観測の生データまたはそれに近いものを系統的に集積して,検索・抽出を可能にしたものはデータ・アーカイヴと呼ばれる.)
天体カタログは古くは印刷物の形で公表,頒布されていたが,それらを計算機に入力したり,最近は始めから計算機上でカタログを作成することが多いので,電子版の形でも流通している.さらには印刷物としては概要紹介だけで,本体は電子版しかないカタログも現れている.電子版の天体カタログの収集・配布には世界中の8ヶ所ほどのデータ・センタのネットワークが当たっている.中心になっているのは,ストラスブール天文台,NASAゴダード宇宙飛行センタ,国立天文台(三鷹)(http://adac.mtk.nao.ac.jp/)などである.データ・センタでは個々のカタログを配布する他,複数のカタログを統合して検索できるデータベースを運用している.
参考文献
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C.Jaschek: 1989, Data in Astronomy, Cambridge Univ. Press.
日本天文学会 編,1989,新版星図星表めぐり,誠文堂新光社.
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