空間的運動が共通な星の集まりで，共通な収束点に向かう固有運動をしているものを，運動星団（moving cluster）または運動星群（moving group）という．ほとんどが，近距離の散開星団やOBアソシエーションである．
運動星群の星の固有運動と視線速度から，その星までの距離を導くことができる．この距離測定法は，三角測量とともに恒星の距離決定における基礎的な手段である．代表的なものに，ヒアデス星団を含む拡張ヒアデス星群（ヒアデス・スーパー・クラスター）がある．
具体的には，まず星団の各々の星の固有運動から収束点を求める．星団の空間的運動は，観測者から見た収束点の方向と平行であるから，星の空間的運動方向の視線方向に対する角度がわかる．これと，観測で求められた視線速度から，星の空間的運動速度と視線方向と垂直な横向き方向への運動速度成分が計算できる．この垂直方向の速度と固有運動の大きさ(角度)を比べて，星までの距離を計算する．
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吉田正太郎著 「宇宙の広さは測れるか」 地人書館 |