古代エジプトの天文学 history of Egyptian astronomy

エジプトの文明は,太陽崇拝を中心としたものだった.祭祀の必要性から古代エジプト人は,太陽の天球上における年周運動の存在を学び,惑星を発見し,黄道の概念を生みだした.ナイル川が氾濫する時期とシリウスが日出直前に薄明の中に昇ってくる時期が一致するという経験から,1年を365日とする太陽暦が編み出された.古代エジプトでは,この365日を2つに分けて,360日と5日とし,その後,4年に一度,うるう日をおいた暦を完成させた.これが1年の起源である.また,360日に対応するように天空を10度ごとに36に分けて,それらに一つずつエジプトの星座を割り当てた.星座を利用して,人々は月日の経過を測っていたが,紀元前2400年からのちに星時計を用い始めた.星時計は数表のようなもので,夜になって星座が昇ってくる時間を正確に示した.また,1日を24時間とした.

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参考文献

ダンネマン,1977,大自然科学史1,P72-76,三省堂
桜井邦朋,1990,天文学史,P22-25,朝倉書店
ノイゲバウアー,1984,古代の精密科学,P74-83,恒星社厚生閣
矢野道雄,1982,天文学史,P34-35,恒星社厚生閣