ハッブル宇宙望遠鏡

1990年4月にスペースシャトルにより590×610kmの軌道に打ち上げられたNASAとESAによる口径2.4mの可視光・近赤外の天体望遠鏡衛星.運用は民間団体のSTScI(宇宙望遠鏡科学研究所)が行っている.

製作はNASAとESA,望遠鏡部分はヒューズ・ダンバリー光学,衛星部分はロッキード社(現在のロッキード・マーティン社)が担当.制作費は15億ドル.

長さ11.4m,主鏡はリッチークレチアン光学系の反射望遠鏡で,焦点距離は31m(広視野カメラF12.9モード)〜362m(微光天体カメラF151モード).広視野/惑星CCDカメラ(WF/PC2)による分解能0.01秒角の画像がよく知られているが,他に赤外線カメラNICMOS,スペクトロメーター等の4台の観測機器を搭載している.駆動は太陽電池による電源を使い,スラスター噴射ではなくジャイロと反動ホイールで動かすため,15年の長寿命である.追尾精度は±0.07秒角/24時間と高性能.

打ち上げ直後に主鏡の研磨ミスによるピンぼけが発覚し,画像処理で対応していたが,1993年12月のシャトルによる修理で機能が回復,1997年には再びシャトルによる保守でNICMOSとスペクトロメータを追加し観測機器を2つ交換し,1998年現在運用中.新発見は完全な重力レンズ,遠方銀河の詳細構造,球状星団の内部構造,原始星,冥王星系の構造等数えきれず,現在も毎月論文が発表されている.

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参考文献

Jane's「Spacecraft Directory」Interavia
宇宙開発事業団編「NASDAノート95」宇宙開発事業団,
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