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月へ向かう軌道は,月を半周して地球にもどる軌道が2種(楕円軌道と8の字軌道),月を周回する軌道(ホーマン軌道),初期の月探査機に使われた,まっすぐ月に向かい,衝突か軟着陸する軌道等がある. 1960-1970年代,アメリカのアポロ計画,ソ連のゾンド・ルナ計画で色々な軌道が実際に飛行された.月への飛行の場合,地球の重力圏脱出速度(第2宇宙速度)より少し大きいくらいの打ち上げ速度でよいが,それでも人を乗せた時は長さ120mというサターン5ロケットが必要だった.これは現在の最大のロケット・タイタン4の2倍の長さの巨大ロケットである. 初の月探査機らしきものは1959年ソ連のルナ1(メチタ1)で,月から5000kmのところをフライバイ.同じ年のルナ2は月面に衝突(計画どおり).同じく1959年ルナ4が月の裏側の写真を撮影し,多くの失敗のあと1966年,ルナ9が初の月面軟着陸し写真を撮影,ルナ10が初の月周回軌道を回った.アメリカも同じ1966年に月面軟着陸と月周回を達成したが,どちらもソ連より4〜5カ月遅れた. アメリカは1968年アポロ8号が初の有人月周回を行い,1969年初の有人月着陸に成功し,そのあと1972年までに6度の有人月着陸を行った.アポロ17以来,有人月着陸は1度も行われていない.アメリカ以外の国は有人月飛行は行っていない.将来計画として,各国とも人口対策や資源などが有望視される月面基地計画をもっているが,アメリカが1992年に棚上げを発表,どの国も具体的計画に至っていない. |