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ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の姿勢制御を行なうために準備された,全天で約1900万個の天体(うち恒星は約1500万個)の位置と等を記載したカタログ. HSTはその焦点面の外周視野のおよそ17’X3’の扇形領域3面で精密照準検出器を動かして500分の1”以下の精度で天体を追尾する.視野が狭いので予め高い密度で暗い星の位置をカタログ化しておき,観測計画のときに照準星を選んでおくようにする.
カタログを作成するために,パロマー山天文台とオーストラリアにある英国科学技術研究会議(SERC)との2台のシュミット望遠鏡で撮影された全天の写真乾板を,宇宙望遠鏡科学研究所の測定器で自動的に走査して,見出された天体の位置と等級を記録し,ほぼ16等までの天体を登録した.しかし暗い側は不完全で,完全に含まれているのはほぼ12等までである.逆に明るすぎる星も排除されている上に,明るい星の周りの暗い星も欠落していることに注意しなければならない.天体は恒星だけでなく銀河なども含んでいる.平均すれば1平方度あたり360天体になるが,銀緯の高いところでは当然少なくなる. カタログの目的上(検出器に入ればよい),位置精度はあまり高くない(0.5−0.9"程度).またこれまでにこれほどまで暗い天体を含むカタログはなかったので,固有運動のデータがない.そのため観測時期(1982年前後)から隔たると位置の精度が落ちていく. 印刷されたカタログはなく,電子版のみがCD-ROMなどで頒布されている. |