■ 人名辞典【こ】 ページ 

コーウェル Cowell, Philip Herbert (1870−1949)

イギリスの天体力学者.1892年ケンブリッジ大学を卒業後,トリニティー・カレッジのフェローとなる.1896年グリニジ天文台の主任助手に任命され,1910年から航海暦の監督.1906年王立学会会員.月の運動の研究に貢献.天体の運動に対する方程式を解く数値積分法“コーウェル法”に名を残す.


コセラ Cosserat,Eugene Maurice Pierre (1866−1931)

フランスの数学者,天文学者.エコール・ノルマルを卒業後,1886年トゥールーズ大学天文台員に任命される.1896年から同大学理学部教授,1908年から天文学教授兼天文台長.1919年から科学アカデミー,1923年から経度局のメンバー.幾何学の研究と天体観測を行い,のちに弾性理論の研究.また,固有運動の研究のため観測,写真,計算を組織.


ゴダード Goddard, Robert Hutchings (1882−1945)

アメリカの物理学者,ロケット工学者.アメリカの近代ロケット開発のパイオニア.1911年クラーク大学で博士号取得.1919年同大学教授.1912年真空中での噴進ロケットの実験を行い,1914年には液体燃料を使用する多段ロケットに関する特許を得る.第一次大戦中には発射管式のロケット砲を開発.


ゴダン  Godin, Louis (1704−1760)

フランスの哲学者,天文学者.1725年科学アカデミーに入り,流星や極光の歴史的研究.日月食観測に取り組み,経度差の測定,月の視差の決定などに寄与.また,地球の形状についての問題を解決するための実地観測に参加,扁平楕円体説が正しいことを立証.この観測のためにペルーに渡り,1751年までサン・マルコス大学教授.のちスペインに渡り海軍大学校教授.


ゴーチエ Gautier, Paul Ferdinand (1842−1909)

天体観測器械製造業者.18歳以降同業に従事.大口径の屈折望遠鏡,天体写真儀,子午儀,子午環類などを製作し,世界各地の天文台・観測所に納入.1897年経度局員.クーデ式赤道儀を考案.


コーツ Cotes, Soger (1682−1716)

イギリスの数学者,天文学者.1702年ケンブリッジのトリニティー・カレッジを卒業.1706年から初代プリュミアン天文学・自然学教授.1711年王立学会会員.主な業績は,自然対数の算出,積分についてのコーツの定理,等間隔点を結ぶn次曲線下の面積を求めるニュートン・コーツの公式など.「プリンキピア」第2版の協力者.トリニティーのキングス・ゲートに天文台を建て,ここで観測した.また,実験物理学の講義も行う.


コノン Conon (BC3世紀)

ギリシャの天文学者・数学者.イタリアやシチリアで天文観測を行い,のちエジプトのアレクサンドリアで宮廷に仕える.エジプトの日食記録を調べるなどして暦を作成.“かみのけ座”をつくる.


コプフ Kopff, August (1882−1960)

ドイツの天文学者.ハイデルベルク大学卒業後,ケーニヒシュツール天文台スタッフ.1924−1954年天文計算局長.1947−50年にはケーニヒシュツール天文台長を兼ねる.恒星視位置の権威.1937年基本星表FK3を完成させ,さらにFK4の編集を指導.またドイツ天体暦,小惑星表の編集も指導.


コブレンツ Coblentz, William Weber (1863−1962)

アメリカの赤外線分光学者.1900年ケース応用科学校を卒業後,コーネル大学に入り,1903年Ph.Dを取得し,カーネギー研究所の研究助手.1904年国立標準局に入る.1905−1945年,標準局の放射測定部門主任.分子のスペクトル線の研究,黒体放射の放射定数の決定を行う.1914年以降,恒星,惑星,星雲の熱放射の測定を行う.赤外線分光学を天体物理学から医学にまで応用.


コペルニクス Copernicus, Nicolas (1473−1543)

ポーランドの天文学者.1491年からクラクフ大学で神学を学ぶ.1512年フラウエンブルク聖堂参事会員に選ばれ,終身これを職とする.イタリアに留学,1496−1500年までボローニャ大学で教会法を学ぶ.一時帰国ののち1501年からパドヴァ大学で医学を学び,1503年フェラーラ大学で教会法の博士号を取得.1512年からフラウエンブルクに観測所を設ける.このころまでに地動説をまとめ,この後も物理的考察や詳細な計算を行う.1543年に主著「天球の回転」を出版.


コマス Comas, Sola Jose (1868−1937)

スペインの天文学者.1890年バルセロナ大学を卒業,火星の観測に取り組む.火星の地図を作り,運河は見かけのものであるとした.また木星・土星の観測も行い,1902年に土星の回転周期を決定.地震学の研究,立体測角器の発明,2つの彗星と8つの小惑星の発見などの業績がある.また,放射についての波動的粒子論を提唱.ファブラ天文台を創立し終生台長.


コムストック Comstock, George Cary (1855−1934)

アメリカの天文学者.1877年にミシガン大学を卒業し,湖沼測量の事業に参加.1879年からウィスコンシン大学ウォシュバーン天文台助手.のち天文台長.位置観測に業績を上げ,光行差の値と,大気屈折値の再決定を行い,大気屈折のための便利な式を与える.また二重星の研究を通じ,太陽の近くに暗い星が多数あると結論した.また天文学・数学の多くの教科書を書いた.1899年全米科学アカデミー会員,アメリカ天文学会初代書記を10年にわたって務める.


コモン Common, Andrew Aislie (1841−1903)

イギリスの天文学者.1875年までは衛生工学技師.のち望遠鏡を通しての天体写真に取り組む.1883年にはじめて木星・土星の満足な写真を得,オリオン座の写真を撮り手書きより優れていることを示す.また他の人々のために76−152cmの放物面鏡をつくる.1884年王立天文学会ゴールド・メダル受賞,翌年同会員および王立学会会員.


コロネリ Coronelli, Vincenzo Maria (1650−1718)

イタリアの地理学者.1665年フランシスコ会修道士,1674年神学博士.1678年パルマ公のために天球儀・地球儀をつくる.そのほか,美しい星座図の作成を行う.1684年ヴェネチアに戻り最初の地理学会をつくる.ヴェネチア共和国の地理学者に任命され,ヨーロッパ各地を回る.1701年からフランシスコ会の総長を3年間務める.アルファベット順としては最初の大百科辞典の刊行をはじめる.


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