グレート・ウォール

銀河が長さ数億光年以上にわたる壁にそって分布しているように見えている構造のこと.

アメリカのスミソニアン天体物理研究所のグループは,空のある細長い範囲に見える銀河6000個余りの赤方偏移を測定した.ハッブルの法則により赤方偏移が距離に比例するとすると,この範囲の奥行き方向も含めた3次元的な銀河の分布,宇宙の地図が描ける.その結果,銀河の分布の泡構造が発見され,さらに距離約3億光年のところに長さ数億光年を超える帯状の長大な銀河集中が発見された.後者を中国の万里の長城(グレート・ウォール)になぞらえてグレート・ウォールと呼ぶ.

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これは銀河の空間分布を表したもので,この図のまん中あたりを横切っている銀河の密集した連なりがグレートウォール.
赤経8時〜17時,赤緯6.5゜〜42.5゜の細長い範囲のB等級15.5等より明るい銀河の赤方偏移を調べ,赤経と赤方偏移の図にプロットしたもの.赤方偏移が我々からの距離に比例すると仮定すると,この図は,我々の位置を中心とした厚い扇形に宇宙をスライスしたときの,見かけが明るい銀河の空間分布を扇形の面に投影したものを表している.ハッブル定数H_0を100万パーセクあたり75km/sとすると,後退速度5000km/s,10000km/s,15000km/sは,距離2.2億光年,4.3億光年,6.5億光年に対応する.
提供:ジョン・ハクラ(ハーバード・スミソニアン天体物理センター),スミソニアン天体物理研究所
http://cfa-www.harvard.edu/~huchra/zcat/

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