遠くの天体ほど,その距離に比例して早く遠ざかっているという法則.ハッブルが1929年に発見した.比例定数はハッブル定数と呼ばれ,観測方法の違いに依って様々な値が得られてきたが,1997年8月現在73km/s/Mpc(1Mpc離れた2つの天体の遠ざかる相対速度が秒速73km)付近の値に落ち着いてきた.
スライファーが1910年から1920年代の中頃にかけて,銀河からの光のスペクトルを大量に観測し,それらの多くが赤方偏移を示していることを発見した.光の赤方偏移は,光を出している物体が観測者から遠ざかる運動をしているために,光の波長が赤い方へ伸びている現象だと解釈される(ドップラー効果である).ハッブルはこの発見に触発され,銀河系外銀河の光のスペクトルを組織的に調べ,1929年に,十分遠方にある銀河はすべて我々の銀河系から遠ざかっていて,その速度は銀河までの距離にほぼ比例していることを発見した.この発見が,ハッブルの法則と呼ばれる.(発表は1931年)
ハッブルの法則は,我々の銀河系が宇宙の中で特別な位置にあることを示しているのではないかとよく誤解されるが,これは間違いである.ハッブルの法則は,任意の2つの銀河が互いに遠ざかる相対速度も,その2つの銀河の間の距離に比例していることを示すのである.
参考文献
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小玉英雄,1991,相対論的宇宙論,p1_2
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