はと座のはなし

旧約聖書の『創世記』第6章11節〜第9章17節に記されているノアの洪水のお話に登場する鳩が星座になった.みなみじゅうじ座や,きりん座とともに,聖書起源の星座が残っている珍しい例.

…地上には罪と争いがはびこり,神は人間を創造したことを悔やみ,全ての人間を滅ぼそうと考えた.しかし,予言者ノアだけは正しい人だったので,その一家は助けることにしたのだ.神は予言者ノアに「子らと,妻と,子らの妻たちと共に箱船に入りなさい…」と告げた.ノアは周りの人が嘲りわらうのもかまわず巨大な箱船を造り,動物たちと共に乗り込んだのだ.するとどうだろう.世界は大雨に見舞われたのだ.雨は四十日四十夜地に降り注いだといわれ,その後,世界中に長い洪水が続いて,ノアの箱船に乗せられた者以外は全てが死んでしまった.箱船はやがてアララテの山に漂着し,山の頂上が少し現れてきたとき,ノアはもとのように地上に生き物がすめるかどうかを確かめるため鳥を放ち,鳩を放ったが,この時,鳩がオリーブの若葉をくわえて帰ってきたのでノアとその家族,動物たちは地上に降り立ったのだ….

星座絵の方からながめると,はと座の東側には大きなアルゴ船が描かれている.これをノアの箱船とみれば,ここにはと座が存在しても不自然ではなく,また,アルゴ遠征隊のお話でもコルキスの国に入るとき動く大岩シュンプレガデスに向かってイアソンは鳩を放ったことも連想される.