ダストマントル dust mantle

揮発性成分の氷でできた彗星核は,太陽近傍への回帰のたびに昇華しコマを形成するが,その際,彗星核の中に含まれている固体のダスト(塵)成分は,氷が昇華したガス(気体)成分の圧力によって放出される.このガス・プレッシャーによって放出されないダストは彗星核表面に残ることになるが,短周期彗星などのように回帰を繰り返した彗星では,このダストが彗星核表面に累積しダスト成分の層が形成されていくと考えられている.このダストの層のことをダストマントルと呼び,彗星核の寿命などを計算する上で,表面のアルベド(反射能)や熱伝導率に大きな影響を及ぼすと考えられてきた.

1986年のハレー彗星探査機ジォットが明らかにした彗星核表面の映像は,このダストマントルの存在を裏付ける極端に低いアルベド(黒っぽい)と不均一な表面を示しており,ダストマントルの存在は確実視されている.

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