南極隕石 antarctic meteorite

南極大陸で発見された隕石の総称.

南極大陸の氷原上に落下した隕石は,そのまま氷河に閉じ込められて,氷河の流れとともに運ばれて集積する.さらに氷に閉じこめられた隕石も,氷全体が上昇しつつ溶けることで表面にうきあがってくる.しかも白い氷原上で黒い石を探せばよいので,極めて効率的に隕石を発見することができる.そのため現在発見されている隕石の多くは南極大陸で発見されている.

南極隕石を最初に発見したのは,日本の南極観測隊であり1969年12月に昭和基地南方300kmのやまと山脈で12個の隕石を発見したのをかわきりに5000個以上の隕石を同地域で発見している.更に1999年には,第三十九次南極地域観測越冬隊の隕石調査隊が,昭和基地南西約400kmにある,やまと山脈とベルジカ山地周辺で過去最多の4136個の隕石を発見採集したと発表した.そのほかセールロンダーネ山地の東や南でも2000個以上を発見し日本は世界一の隕石保有国である.そのほか,アメリカ隊が発見している3000個などをふくめ1999年3月現在で,1万6000個を超える南極隕石が発見されている.ちなみにこれ以外の隕石は3000個未満である(ただし1個の隕石が多数に割られて流通することが多い).

南極隕石の中には成分分析によって,火星から飛来したと見られるものもふくまれている.なかでもアメリカ隊がアランヒルズで収集したALH84001隕石は,火星起源で生命の活動痕跡があるということで1997年に話題になったが,現在は生命痕跡については否定的見解が主流になりつつある.

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参考文献

国立極地研究所編,1994年「南極科学館」古今書院