ガリレオ(アメリカ)

アメリカの木星探査機.1989年10月にスペースシャトルから打ち上げられた木星軌道には1995年12月に到着した.

ガリレオは10億ドルの大型探査機であるが,燃料の節約のため金星と地球にフライバイをして加速を行って木星にいく方法をとっているので,ヴォイジャー計画などと比較すると時間がかかっている.

ガリレオは木星を周回しながら長期間観測を行う探査機で,人類初の外惑星の人工衛星である.カメラはヴォイジャー探査機までのヴィジコンに代わり800×800ピクセルのCCDが使用され,焦点距離1500mmの望遠鏡と組み合わせて,赤外線まで含む高精度の画像が得られる.ヴォイジャー同様,搭載できる限りの観測装置がそなえられており,紫外線&超紫外スペクトロメーター,偏光ラジオメーター,近赤外マッピングスペクトロメーター,プラズマ測定器等である.またガリレオは初のデュアルスパン衛星で,アンテナ部分と観測装置部分が別々に回転できる.

打ち上げ翌年の1990年8月地球,10月に金星に接近しスイングバイで加速,1991年10月に小惑星ガスプラに1600kmまで接近し初の小惑星近接撮影を行い,1992年12月に再び地球に接近しスイングバイを行い,1993年8月には小惑星イーダに2400kmまで接近して観測を行い,イーダを回る衛星を発見した.

1995年7月に木星大気に落下するプローブを切り離し,直後に軌道を修正1995年12月に木星周回軌道に入った.プローブは12月に木星大気に突入し,落下しながら大気成分等のデータを送信した.

ガリレオは低温の外惑星観測用に作られているが,金星軌道を通るコースになったため,途中で太陽熱の高温にさらされることになった.そのため,傘のような主アンテナを太陽に近い軌道の時にはたたみ,涼しくなったら開くことにしていたが,1991年4月に主アンテナ展開が失敗.結局最後まで開かず,予備のアンテナでデータの送受信を行うことになった.電波の強度が約1万分の一に落ちたため,ソフトウェアや地上の受信装置を改良し,木星に落下したプローブからのデータは100%受信に成功した.1998年までに1500枚以上の木星や衛星の画像を送ってきている.

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参考文献

Jane's,Spacecraft Directory,Interavia
宇宙開発事業団編,NASDAノート95,宇宙開発事業団,
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