金星探査機

太陽系の内側から2番目を回る惑星の金星の観測を目的とした惑星探査機をいう.

1962年8月打ち上げのアメリカのマリナー2号が金星から35000kmほどの地点を通過し,温度などを測定したのが最初.1965年11月にはソ連が8機の失敗の後,金星3号を打ち上げ,翌年3月に金星表面に初めてペネトレーター(ロケットで地面に打ち込む探査棒のようなもの)を打ち込んだ.

1967年6月打ち上げのアメリカのマリナー5号は同年10月に4100kmの地点を通過,同じく6月打ち上げのソ連の金星4号は,同じく10月に金星の大気に突入し,高度25km以下の気温測定に成功した.

1970年8月打ち上げのソ連の金星7号は,12月に史上初の惑星表面への軟着陸に成功し,温度などを測定した.1972年3月打ち上げの金星8号も7月に軟着陸に成功した.また,1973年11月打ち上げのアメリカのマリナー10号は,翌年2月に5700kmほどの地点を通過し,水星に向かった.

1975年6月ソ連の打ち上げの金星9号,10号は,10月に金星周回軌道に初めてのり,着陸機が金星表面に軟着陸を行って,パノラマ写真で金星表面の撮影に初めて成功した.

1978年5月打ち上げのアメリカのパイオニア・ヴィーナス1号が12月に金星周回軌道にのり,磁気,大気,重力等を観測した.また同年8月打ち上げのパイオニア・ヴィーナス2号は11月に着陸機4機を分離し,着陸機は金星表面におり,大気などの観測を行った.2号は12月に金星表面に衝突した.ソ連は同じ1978年,9月に金星11号,12号を打ち上げ,10月に金星表面に軟着陸を行った.

1981年10月,11月に,ソ連は金星13号,14号を打ち上げ,どちらも翌年3月金星表面に軟着陸し,初のカラー写真を撮影した.またソ連は,1983年6月には,金星15号,16号を打ち上げ,10月に周回軌道にのり,周回を続けながら大気や表面のレーダー観測を行った.

1984年12月,ソ連はヴェガ1号,2号を打ち上げ,翌年5月のハレー彗星に向かう前の金星スイングバイの時に金星大気に探査装置を落とした.

1989年5月,アメリカはスペースシャトルからマゼラン探査機を打ち上げ,翌年8月に金星周回軌道にのせた.マゼランは初の開口合成レーダーによる詳細な表面観測を行ったのち1994年10月金星表面に衝突した.

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参考文献

Jane's「Spacecraft Directory」Interavia
宇宙開発事業団編「NASDAノート95」宇宙開発事業団,
インターネットのホームページ